愛想笑いの課長は甘い俺様
訳もわからずお湯を沸かしてお茶の用意をした。
部屋の中ではカチャカチャと食器の音だけが聞こえる。
「……」
って、なんで私も家に入れてるんだろ。
あの時は風邪引いて弱ってたから仕方なかったけど、今は風邪も治って課長が家に来る意味なんてないのに。
それがただ、ご飯食べるためだけって。
こんなことが課長のお仕置き?
頭の中で悶々と考えながらキッチンに立っていると、急に後ろから抱きしめられた。
「!!」
「飯食いに来ただけと思った?」
耳の横で低い声で囁きかける課長。
「なっ、なんですか!?」
「言ったろ、お仕置きって」
がっしりと腕を回され、すっぽりと課長の体に包まれてしまった。
「お、お仕置き!? え!? わっ!」
そう言うと、クルリと体を反転させられたと思った途端また唇を塞がれた。
「んっ!」
バタバタと昼間の抵抗より強く反発してみても、やっぱりどうしても身動き出来ないくらいに強く抱きしめられている。
「んーっ!か、かちょ…」
昼間の時よりも強く深く息つく暇もなく舌が絡みついてくる。
体が溶けてしまいそうだ。
やっと離れたと思った途端、またフワリと体が浮いてお姫様抱っこでベッドまで連れていかれた。
「ちょ!課長!なに!?」
腕を立てて私に覆い被さっている課長。
少し上気した顔は今まで見た以上に艶かしくて、私の心臓は激しく脈打ったままだ。