愛想笑いの課長は甘い俺様
翌朝目覚めると、天井がゆらゆら揺れている。
頭もボーッとして気分も悪い。
フラつく頭で体温計を測ると『39.1℃』が表示されている。
「風邪だ…」
昨日、課長が心配したとおりの結果になってしまった。
情けない。
あれだけ勢いよく文句言ったのに結局この有様…。
起き上がろうとしても体は熱いし言うことをきいてくれない。
ふと時計を見ると始業時間を過ぎている。
「あ〜…やばい」
枕元に置いてあった携帯を手に取り、重たい手つきで番号を押して会社に電話をかけた。
閉じたままの瞼で呼び出し音に耳を澄ませていると、ガチャっと応答する声が聞こえた。
「はい、堤です」
あ? え!? 課長?!
「も、もしもし坂井です。連絡が遅くなってしまってすみません。あの…やっぱり風邪を引いてしまったようで…今日お休みさせていただきたいんですが」
「あぁ、分かってる。ゆっくり休め」
「そ、それから…昨日は色々とありがとうございました。助かりました」
気持ちも体も弱ってるせいか素直に言葉が出てきた。
「いいよ、気にせず寝てろ」
「はい…すみません」
ホッとして電話を切ると、気を失うように眠ってしまった。