Perverse
その日を境に私と柴垣くんとの間に、再び微妙な距離感ができてしまった。
それは傍から見れば全然感じない程度のもの。
私達二人にしか感じ取れないほどの小さな変化だ。
二人きりにはならない様に。
物を手渡しする時には指が触れないように。
男や女を意識させるような言葉は避けるように。
無意識ではなく意識的にそうすることで、同期としての距離を保っている。
そうこうしているうちに柴垣くんは二日間、大阪出張に出てしまった。
主不在のデスクは視界に入る度に私を切なくさせた。
「新作パターン持ってきましたぁ」
突如甲高く甘えた口調で企画から竹下さんが降りてきて、営業にパターンを手渡ししていく。
「あれ?柴垣さんは出てるんですかぁ?」
津田さんに竹下さんがそう聞くと、
「出張だよ」
と短く答えた津田さんは、きっとこの間のことがあってから竹下さんへの見方が変わったのだろう。
「なぁんだ」
竹下さんはそう呟いて私のデスクの前まで来ると、
「来なきゃよかった」
そう言って私を睨みつけながら、手渡しではなくデスクにバサリと置いて去って行った。
その竹下さんの呆れた態度に、腹を立てるよりも呆気に取られてしまった。
それは傍から見れば全然感じない程度のもの。
私達二人にしか感じ取れないほどの小さな変化だ。
二人きりにはならない様に。
物を手渡しする時には指が触れないように。
男や女を意識させるような言葉は避けるように。
無意識ではなく意識的にそうすることで、同期としての距離を保っている。
そうこうしているうちに柴垣くんは二日間、大阪出張に出てしまった。
主不在のデスクは視界に入る度に私を切なくさせた。
「新作パターン持ってきましたぁ」
突如甲高く甘えた口調で企画から竹下さんが降りてきて、営業にパターンを手渡ししていく。
「あれ?柴垣さんは出てるんですかぁ?」
津田さんに竹下さんがそう聞くと、
「出張だよ」
と短く答えた津田さんは、きっとこの間のことがあってから竹下さんへの見方が変わったのだろう。
「なぁんだ」
竹下さんはそう呟いて私のデスクの前まで来ると、
「来なきゃよかった」
そう言って私を睨みつけながら、手渡しではなくデスクにバサリと置いて去って行った。
その竹下さんの呆れた態度に、腹を立てるよりも呆気に取られてしまった。