Perverse
「三崎さんが謝ることじゃない。何とか対処できて良かったよ」



「本当に二人にはなんてお礼を言ったらいいか…」



「これが僕の仕事なんだから」



津田さんはいつも周りをサポートしてくれる心強い先輩。



自分の事よりも後輩を育てることを大切にしてくれている。



だからこそ津田さんに甘えない様に自己解決してきたつもりだけれど。



今回のことに全く気付かずにいたなんて、自分の怠慢さが本当に情けない。



それの引金が故意であることがまた悔しくて仕方が無い。



きっと今回の事は竹下さんが関係しているんじゃないかと思う。



けれどなんの証拠もない以上、それを声に出していうことは出来ない。



きっと柴垣くんも津田さんもそれがわかっているから何も言わないのだろう。



「今後はパターンや予定表なんかは俺のと照らし合わせてからにしよう。こっちでも確認すれば、今回みたいなことにはならないと思うしな」



「そうだね。柴垣と三崎さんは暫く密に情報提供しあって」



「わかりました」



「わかりました。宜しくお願いします」



二人にそう言ってもう一度頭を下げると、



「はい、もう今日はおしまい。明日は切り替えて頑張ろう」



と津田さんは空気を変えるかのように手を叩いた。



「よし、帰ろうか。三崎さん、一緒に…」



「大丈夫です。俺がいますから」



きっと、津田さんからの帰りの誘いであったであろう言葉を、柴垣くんはバッサリと両断してしまった。
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