Perverse
空いた電車のシートに2人で座ると、何だかとても緊張する。



そういえば今日は化粧直しをしていない。



今日は比較的に暖かかったのに加え、最後に大きなトラブルで冷や汗かいちゃったし。



顔…凄いことになってるんじゃ…。



明るい車内では隠すこともできず、顔を伏せて何とかやり過ごそうとする。



そんな私の気持ちを知ってか知らずか、柴垣くんは駅に付くまで黙って向かいの暗い車窓を見つめて何かを考えているようだった。



最寄りの駅で降りるまで、たいした会話もなかったけれど前のように居心地の悪い雰囲気ではなかった。



駅からそんなに長くない道のりを少しゆっくりめに歩く。



足音だけが響く路地は静かで、いつもよりも二人の距離が近い。



「三崎。お前はさっき遮ったけど、どうしてもあれは竹下のせいだと思う」



突然の柴垣くんの発言に私は戸惑ったけれど、否定も肯定もすることができなかった。



「最近の竹下は三崎に対する羨望や敵対心が剥き出しだ。気にはしてたけど、まさかこんなことをしでかすなんて思ってもみなかった」



それは私も同じ思いだけれど、それに私が同意してはいけない気がした。
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