Perverse
ゆっくりと背もたれに凭れ掛かると、胸の下で腕を組む。



「あなた、私を潰すつもりだったの?」




「でなければあんな事しません」



そんな強気で言われても、もう笑いしか出てこない。



「ほんっと、可笑しいからやめてくれる?」



「はぁ?」



「だって…ふふっ…あなたに私が潰せるわけないでしょ?」



笑いが混じってしまうほど可笑しい。



竹下さんが本気で私を潰そうとしていたなんて、想像するだけで大笑いしたくなる。



「どういう意味ですか?実際に2品番落としただけでも大変だった筈でしょう?あれ、あえて人気品番じゃないのを選んであげたんですよ」



『あげた』?



それこそ余計なお世話というものだ。



「人ひとり潰すのは、竹下さんが考えているよりもずっと難しいのよ」



「そんなこと分かってますっ」



「分かってないわ。現に私はこれっぽっちも危うくなってない。潰すって、意外に頭と労力を費やすものなのよ。あなたには無理」



「なっ……」



私って、性格の悪い女だったのだろうか?



竹下さんを見下した言葉を発しているのに、少しも罪悪感なんて感じない。



むしろ快感だなんて。
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