Perverse
こんなこと考えてる自分が嫌だ。



気を抜けば一気に弱い自分に逆戻り。



そうなってしまえば全てが無駄になる。



何のために柴垣くんから力を貰ったのか。



こんな所で怖気付くようではダメなんだ。



きっちりケリを付けると決めたはずじゃないか。



「そんな人達は仕事にシビアよ。できる彼らが公私混同で仕事のフォローなんてするわけないじゃない」



いろいろな人がいるけれど、柴垣くんや津田さんは努力を惜しまない分とても厳しい面を持つ。



やらねばならない事に対して努力ができない人間に、自ら手を差し伸べることはしない。



けれど結果のみを評価される営業職だが、柴垣くんと津田さんは経過もしっかりと評価してくれる。



つまりは彼らの手を掴めるのは努力できる人のみなのだ。



「竹下さん、自分の周りを冷静に見てみるといいわ。あなたの周りにいるのは本当にあなたにとって大切な人?」



「…何を突然…」



私の問に、たった今まで即座に反発してきた竹下さんが口籠もった。



「あなたに何かあった時、手を差し伸べてくれる人はいるの?」



大きく見開かれた瞳は揺れて、腹立出しさと少しの苦しさを宿し初めて私から視線を逸らした。



「そんな人がいないのは、竹下さん自身、本当に大切にしているものがないからよ」



女としてのプライドしか大切なものを持っていない竹下さんには、その程度の人しか寄ってこないし慕ってこないというのに気付くべきだ。
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