Perverse
髪をかき上げた竹下さんは、ふうっと大きな溜め息をついた。



「三崎さんの口の悪さに驚きました。その性格隠してるなんて詐欺です」



「それは竹下さんのせいよ。あなたが余計なこと仕掛けてくるから」



驚くほど新たな自分の発掘は、竹下さんがいなければ出来なかったことだろう。



できれば全てを穏便に済ませておきたかったところだが、これはこれでいいきっかけになったことは認めなければならないだろう。



「あなたが今後何をしてきても、私は絶対に潰れない。逆に私があなたを潰すことは簡単に出来るわ。覚えておいてね」



「やだ怖い。それは脅しですか?」



「脅しじゃなくてレベルの違いを自覚しろって言ってるの。あなたは私と張り合う資格を持ってない」



資格は義務と経験を経て与えられるもの。



今の竹下さんでは私に仕掛ける術を持たない。



完全な力不足だ。



「やっぱり私は三崎さんのこと大嫌いです」



ふてぶてしくそう言うと、竹下さんは椅子から立ち上がった。



「だから確実に潰すことができるように力をつけます。覚悟しといてください」



私を睨みつけたその瞳奥には濁りなく、何かを見つけたように明るく見えた。



「人を潰すなんて随分と不純な動機ね」



それでも竹下さんが前向きに何かに取り組むのならそれでもいいかもしれない。
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