Perverse
お腹も空いていたし、以前と違って気を張ることもない雰囲気だったこともあり、私達は駅前の居酒屋に向かった。



ゆったりとした4人用の半個室に座ると、やっぱりまずは、ということで注文は中ジョッキだ。



ビールとサラダで乾杯すると、津田さんが『ところで』と切り出した。



「最近の三崎さんを見れば上手く解決したと感じるんだけど、それでいいのかな?」



「はい、上手くなのかは分かりませんけど解決したみたいです」



「話が纏まらなかったら直接上に話をあげようと思ってたんだ。そうならなくて良かったよ」



「心配かけてすみませんでした」



ペコリと頭を下げると、2人で思い出したかのように小さな声で笑った。



今朝、営業に出る前に、竹下さんが2課にやって来て、ツカツカと私の前に立ちはだかった。



「これ見て文句あるなら言ってください」



そう言うと、おもむろに1枚のB5サイズの紙を目の前に突き出した。



「…え?」



突然の事で驚きを隠せないまま紙を受け取ると、それを確認して驚いた。



それは前回貰った入荷予定表の改訂版。



きっちりと色分けされていて、便別はもとより展示会での注文状況やおおよそのフリー在庫情報など、営業が見れば一目で予定と売れ筋情報が分かるようになっている。



「凄く見やすくなってる。ありがとう竹下さん。とても助かるわ」



にっこり微笑むと竹下さんはふいっと顔をそらす。



「まだまだこんなもんじゃないんで」



そう言って立ち去った彼女を見て、今の強気は照れ隠しだなと思った。
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