Perverse
ちゃんと気持ちを伝えて2人の関係に決着がついたのだから、いまさらそれを無視するとは考えにくい。



津田さんとの関係も本当に良好で、その大人な対応に感謝しているくらいなのだから。



だったら…なぜ?



「三崎さん、今困惑してるよね?」



「え?…あ…いえ」



よっぽど顔に出ていたのだろう。



津田さんが苦笑いしながら聞いてきた。



「はっきり言うとね、三崎さんへの気持ちが無くなったわけじゃないんだ。そんなに簡単に割り切れる想いじゃないからね」



ちょっぴり切なそうなに言った津田さんだけれど、以前のように何かを求められるような雰囲気ではない。



「でも三崎さんの気持ちはあの時にちゃんと伝えてもらったから、何をどうしようとは考えてないんだ。ただちょっと思うところがあって」



「どういう事ですか?」



「どういう事だろうね?三崎さんはいつも通り自然体で大丈夫だよ。最近はとっても充実してる顔だよ?以前からそうだったけど、最近の三崎さんはそれに素直さと明るさがプラスされた感じだもんな」



「そうですか?そう見えてるなら嬉しいです」



「今の三崎さんならもっと伸びるよ」



「本当ですか?頑張ります」



何だか話が逸れてしまったような気がするけれど。



それでも今の私と津田さんの一番自然な会話は仕事と人間観だと思う。



会話を繰り広げながら学ぶところも多くて、いつの間にか当初の疑問なんて忘れてしまっていた。
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