Perverse
「お前…こんな時間まで何やってんだ」



「あ…津田さんと…」



「そんなこと知ってるよ」



「柴垣くんが聞いたんじゃない」



「こんな時間に1人じゃ危ねぇだろって言ってんだよ」



「残業してたらこんな時間ザラだよ?」



「………」



「柴垣くん、何だか父親みたい」



「そんなわけあるかっ」



ふいっとそっぽ向く柴垣くんは、悪戯がバレてしまった子供のようだった。



「ほら、帰るぞっ」



「あ、待ってっ」



すでに歩き出してしまった柴垣くんを慌てて追うと、彼は少しだけ歩調を緩めてくれる。



そういう彼の何気ない思いやりが、また私の心を掴んで離さなくするんだ。



「ねぇ」



「ん?」



「柴垣くんこそ、こんなところで何してたの?」



スポーツメーカーのお洒落なスエットだけれど、これはやっぱり部屋着なんじゃないだろうか?



「……買い物…」



「買い物?」



柴垣くんの両手は何も持っていないのに。



「…のような散歩」



「ふぅん…」



なんなんだ、いったい。
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