Perverse
素直さを手に入れるための努力もせずに、他人に依存してばかりいるから今こんなことになっているのに。



私は何も学んでいなかった。



行動しなければこのままだし。



わからなければ聞けばいい。



簡単な事さえ出来ずにいる自分が情けなくなって、小さい溜め息を漏らしたとき。



「そういえば」



沙耶ちゃんがそう言いながら顔を上げた。



「竹下、今度はつるんでた人達から文句言われ出してます」



「え?どういうこと?」



「なんだか急に仕事しだしたらしくて。今まで腰掛け精神バリバリ組だったから面白くないんでしょうね」



「…そうなんだ…」



「仕事しだして文句言うような人達からは言われとけって感じですけどね」



けらけらと笑う沙耶ちゃんは強い。



今までの自分と決別して、真正面から文句を受け止めている竹下さんも…強い。



私もその素直さと勇気を御裾分けしてもらおう。



誰もが私と同じ気持ちなんてことないんだ。



その違う気持ちを逃げずに認めることも絶対に必要で。



柴垣くんと私の気持ちがイコールでなくても、私はちゃんと受け入れて認めなければならない。



逃げることが許されるのは、頑張った人だけ。



私はまだ、逃げる権利を持っていないんだ。



私は柴垣くんに繋がる唯一のスマホをギュッと握りしめた。
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