Perverse
苦手意識しかなくて、私は柴垣くんを何一つ見てこなかった。



いつもオドオドして避けてきたから。



だから本当に信じられなかった。



こんなに容姿端麗で、仕事もできて、厳しいけど優しくて思いやりがあって、選びたい放題であろう彼が。



一目惚れなんてものをするのか?と。



「俺の気持ちをお前が勝手に嘘にしてんじゃねぇよ。嘘や冗談で6年も一人の女を想えねぇだろ」



私だってこんなに…。



柴垣くんの事をこんなに好きになるなんて。



こんなに好きになってもらってるなんて。



思いもしなかった…。



「お前はそんなこと全然気付きもしねぇんだもんな」



ぎゅっと強く手を握りあうと、もう次から次に好きが溢れる。



「柴垣くん…好き」



私の唐突な言葉に目を見張ったけれど、2度目の告白に柴垣くんはとっても優しく微笑んでくれた。



今まで胸の中で、溢れては無理矢理沈められ燻り続けていた私の気持ち。



口を開けば雪崩のように零れてきそうで。



私はぐっと唇を結び、柴垣くんの胸にコトンとおでこをくっつけた。



「何度も言うと嘘に聞こえるって言うから言いたくないけど…好き」



真っ赤であろう顔を隠してもう1度そう言うと、柴垣くんはぎゅうっと抱きしめてくれた。



「…俺も…すげー好き」



柴垣くんのその言葉は、きっと一生忘れないと思う。
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