Perverse
想いが繋がった本当に愛しい人と迎える朝が、こんなにも特別なものだなんて知らなかった。



「寝顔……見たでしょ……」



自分じゃ見れない寝顔を柴垣くんに見られるなんて。



間抜けな顔してたら興ざめされてしまうかもしれないじゃない。



「うん。見た。ガン見した」



力強く答えられたものだから、「もう、やだ……」と情けない声で呟きながら、私を抱きしめている柴垣くんの腕を軽くつねる。



「やだじゃねぇよ。見放題なんだから、そりゃ見るだろ」



「自分も知らない部分を知られるのって、恥ずかしいじゃない」



「それは寝顔だけじゃないだろ?」



そう言われて何のことかと顔を上げると、柴垣くんはとても意地悪そうに口角を上げた。



「昨日のエロい顔、とかな?」



途端に顔だけに留まらず、全身まで恥ずかしさで熱を帯び、「ばか……」と漏らして慌てて毛布で顔を隠した。



それを言うなら柴垣くんの、あんなに私を求める顔だって自分じゃわからないはずだ。



それに昨夜彼が言ってくれた六年間の想いが本当なら、そんな顔を見たのもきっと私が初めてだと思ってもいいんじゃないだろうか。
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