Perverse
お互いに初めての顔を見せあったのなら、恥ずかしさも半減する。



けれどどうしても半減しないことが一つある。



「ねぇ……柴垣くん……」



「なに?」



「……着替えたいんだけど」



ぴったりと寄り添い柴垣くんに撫でられている背中も全て。



私達は何も纏っていないのだ。



さすがに堂々とベッドから出て、全てを曝したまま着替えるなんてこと、できるはずがない。



「俺、先に着替えるから、少しゆっくりしてリビングにおいで」



とても柴垣くんとは思えない気配りと優しさに驚きながらも、頬に添えられた手にすり寄って「ありがとう」と微笑んだ。



柴垣くんがベッドを抜け出た瞬間にパッと背中を向けて……。



自分の身体の変化に疑問を持った。



あれ……。



これってひょっとして……腰抜けてるんじゃないの?



柴垣くんが寝室から出て行ったのを確認してベッドから抜け出て立ち上がろうとすると。



「うそでしょ……」



ペタンと床にへたり落ちてしまった。
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