Perverse
給湯室で柴垣くんを待つ短い時間で、片付けやシンクを磨いたりしているので、最近の給湯室はとても綺麗だと言われている。



もちろんその理由はトップシークレットだ。



ほどなくすると、柴垣くんが給湯室へと入ってきた。



「この時間のここは人がいなくていいな」



「そうだね」



私が朝のお茶くみをしなくなってからこのかた、朝一はそれぞれが自分で持ってきたり買ってきたりするようになったので、昼前まで給湯室を使う人はいなくなった。



だからここは私達にとって最高の場所になったわけだ。



会社では割り切っている、といいながら、影でこんなことをしているなんて、どうかとも思う。



けれどどれだけ一緒にいても、二人の時間は全く足りない。



帰りはよほどのことがない限り時間を合わせて一緒に退社する。



その後は当然のようにどちらかの家に帰宅しているので、お互いの家にお互いの物が増え、もうどちらで夜を過ごしても困らないようになっている。



なので必然的に朝も一緒に出勤だ。



人より多くに時間を共に過ごしていると言われそうだけど。



「今日も一日頑張ろうね」



「おう。頑張らないと、今月もまた俺の勝ちだぞ」



「今度こそ負けないから」



意地悪な顔をして笑う柴垣くんのスーツの襟を引っ張ると、私は彼の頬にキスをした。
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