Perverse
「それだけ?」



「え?」



「こんなんじゃ半日分のエネルギーにもなりゃしねぇ。せめてこれくらいはやってもらわねぇと」



言うが早いか、柴垣くんは私の腰を引き寄せた。



次に何が来るのかなんて分かってたけれど、私はわざとらしく抵抗するかのように腕に力を込めたが、あっさりと柴垣くんの唇を受け入れた。



もっと先が欲しくなるような。



甘くて優しい柴垣くんのキスは、いつも私の心を満たしてくれる。



ちゅ……と音を立てて離れた柴垣くんの唇を見ると、私のルージュかついていた。



それを親指で拭う柴垣くんの仕草が堪らなく色っぽくて、私はいつもクラクラしてしまうんだ。



「充電完了」



艶やかに笑う柴垣くんに、私はいつもドキドキさせられっぱなし。



「ねぇ、今思い出したんだけど」



「なに?」



「柴垣くん、以前私に『男を駄目にする女』だって言ったでしょ?」



「……言ったな、そう言えば」



あれは私にとって呪いの言葉として、心にずっと残っていた。



「私は柴垣くんのことも駄目にしちゃうのかな?」



ぽそっと呟くと、柴垣くんは吹き出して笑った。
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