Perverse
「三崎さんを毎日見てたら彼女が霞みそうで怖いっすよ」


「あーわかるぅ。彼女のハードル高くなりそーだよな」


「お前彼女いねぇだろっ」


「まじで三崎さんって完璧だよなぁ」


「手の届かない人だよなぁ。やっぱ高嶺の花って言葉がピッタリだよ」



……なによそれ。



わいわい盛り上がっている扉の向こうで好き勝手な言葉が飛び交う。



皆が見ている私と本当の私。



偽物と本物の差がどんどん開いていって、その度に私の気持ちは置き去り。



自分の理想の女性になりたくて背伸びしすぎた結果がコレだ。



自分のせいなのに。



それはわかっているのに…『勝手に私を作り上げないで!』と叫びたくなってしまう。



なのに無理に笑顔を作り、自分の嫌いな自分の仮面をかぶり終えて手に力を込めたとき。



「なんだそれ」



私の思いと同じ言葉が響いた。
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