Perverse

episode2

『ただの女』



歓迎会の日に柴垣くんがそう言って以来、私の中での柴垣くんの位置付けが不安定で仕方がない。



苦手な人だったはずなのに、逃げたかったはずなのに。



何故だかもっと関わり合いたくてたまらなくなる時がある。



柴垣くんのあの言葉を聞いた後、私はパウダールームへと引き返し、涙と真っ赤になった顔と落ち着きをなくした心臓を必死に抑えてから席に戻った。



私の変化に気付いた楓と津田さんが心配してくれたけれど、私はいつもの愛想笑いで交わす。



会がお開きになって二次会にほとんどの人が流れたけれど、私は飲み過ぎたからと理由付けして遠慮させてもらった。



週末に掃除洗濯買い出しをすませても、ことある事に浮かんで来る柴垣くんは、一体私の頭の中で何をしているんだろう。



それは週明けも変わることなく、顔を見るたび言葉を交わすたび、どんどん侵食しているようだ。



あれからもう1週間以上もたったのに、さらに拡大傾向にあるみたいで意識してしまうのが怖い。
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