Perverse
なんでこの人はいつもこのタイミングで後ろにいるんだろう。



別に彼に後ろめたさを感じる必要性はないのに。



「せっかくのデートなのに浮かない顔してんな」



柴垣くんは自分のマグカップにインスタントコーヒーの粉を入れながらチラリと私を見た。



「デートなんかじゃないわ。ただ食事に誘われただけよ」



「ふーん。津田さんは俺の存在が気に入らねぇみたいだ。今日こそは三崎とのデートを邪魔すんなってさ。」



「だからデートじゃないってば」



「この前邪魔したこと、よっぽど根に持ってんだな」



「邪魔なんて…」



確かに津田さんの言葉を途中で遮ってしまったけれど、あの時に気持ちを聞いていても私はどうすることも出来なかったと思うし。



その後の出来事が衝撃的すぎて今日まで何も考えられていない。



今日、私はちゃんと答えを告げられるだろうか。



「お前、流されんなよ」



「えっ?」



心を見透かされたような柴垣くんの言葉に驚いた。



「津田さんだって男なんだよ。好きな女を手に入れたい。モノにしたいって気持ちはある。忘れんな」



「津田さんはそんな強引なことしないと思う」



「お前まだそんなこと言ってんの?」



「だって津田さんだよ?」



「だから何だよ。男なら誰だって好きな女は抱きてぇんだよ」



「津田さんと柴垣くんは違うわ」



「あっそ」



柴垣くんはカップを置くと、冷めた目で私をみて大きく一歩近づいた。
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