Perverse
不意に詰められたその距離は、この前の出来事を思い起こさせる。
息が止まりそうなくらい驚いて慌てて一歩後ずさると、柴垣くんはさらに距離を縮めてきた。
「…近い…」
両手で柴垣くんの胸を押し返すと、あっさりとその腕を取られて頭上で一つに纏め上げられてしまった。
「ちょっ…何…」
「お前を追い詰めるなんて簡単なんだよ。これくらい津田さんでもできる」
「またそんなこと…」
言い返そうと柴垣くんを見上げて、視線を合わせたことが失敗だったと気付く。
有無を言わせない強い視線に捉えられてしまったら、彼への気持ちが溢れ出しそうで泣きたくなる。
「やっぱりお前は変わってねぇな」
「……」
「お前は男をダメにする女だ」
「それって…っ…」
昔も聞いた同じセリフだった。
長いあいだ、私を縛りつけていたこの言葉がどういう意味なのか。
それが知りたかったのに。
私の唇はもう、柴垣くんに問いかける言葉を漏らすことすらできなかった。
息が止まりそうなくらい驚いて慌てて一歩後ずさると、柴垣くんはさらに距離を縮めてきた。
「…近い…」
両手で柴垣くんの胸を押し返すと、あっさりとその腕を取られて頭上で一つに纏め上げられてしまった。
「ちょっ…何…」
「お前を追い詰めるなんて簡単なんだよ。これくらい津田さんでもできる」
「またそんなこと…」
言い返そうと柴垣くんを見上げて、視線を合わせたことが失敗だったと気付く。
有無を言わせない強い視線に捉えられてしまったら、彼への気持ちが溢れ出しそうで泣きたくなる。
「やっぱりお前は変わってねぇな」
「……」
「お前は男をダメにする女だ」
「それって…っ…」
昔も聞いた同じセリフだった。
長いあいだ、私を縛りつけていたこの言葉がどういう意味なのか。
それが知りたかったのに。
私の唇はもう、柴垣くんに問いかける言葉を漏らすことすらできなかった。