Perverse
津田さんには私が出す答えを悟っているのだろう。



何の期待も持たない寂しい瞳。



どうしてそんな表情をしてまで想いを伝える覚悟があるんだろうか…。



そんな覚悟も勇気も持ち合わせていない私に、津田さんの心情は到底わかるはずもない。



一つだけはっきりとしている事は、津田さんにそんな顔をさせているのは私だと言うことだけ。



いたたまれなくなって視線を逸らしてしまった。



「三崎さん。俺はね、ずっと三崎さんを見てきたんだ。だから何となくわかる。三崎さんが変わろうとしているのも、そのきっかけを作った人物も…三崎さんが今、誰を見ているのかも…」



「津田さん…」



「でもそれは今現在であって、未来は決まってないとも思ってる。まずは先輩脱却を試みて、未来に繋げていきたいんだ。だから今は答えを出さないで」



そう言って微笑む津田さんは本当に穏やかで。



この人から想われているなんて、本当に光栄なことだと心から思えた。



その気持ちに答えられないのが、胸を抉られるように辛いけれど。
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