Perverse
でもね津田さん。



私は変わろうとしているんじゃないんです。



私は戻ろうとしてるんです。



全てを取り繕って身動きできなかった私から、私らしさを取り戻すために。



その決断をくれたのは柴垣くん。



私の心には柴垣くんしかいないんです。



「津田さん…。お気持ちは嬉しいです。でも…」



「まだ!」



再度言葉を遮ると、津田さんは切なそうな顔を見せた。



「まだ…アイツと同じ土俵にも立ててないんだ。比べたり競ったりできる立場ですらない。せめて比較対象になりたいんだ…」



「………」



「何も出来ないまま諦めるという選択をするのは嫌なんだよ」



そんなふうに言われたら…もうなにも言えるわけない。



「津田さん…。お料理冷めちゃいます。食べましょう?」



上手く笑えていたかなんてわからないけれど。



今は津田さんの真っ直ぐな気持ちを受け止めることが一番なんだと思った。
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