Perverse
遅くても一ヶ月前位には課長から私に話が降りてくるのだけれど。



「佐々木課長ったら、言い忘れちゃったのかしら?」



「そうじゃないんですよ。新しい人って、大阪支店からの異動だそうです」



「大阪支店?」



確かにあそこは業績もうなぎ上りだが、本社の売上だって負けてはいない。



大阪支店からわざわざ異動者なんて必要あるのだろうか?



首を傾げて楓に視線を送ると、同じように戸惑った楓の視線とぶつかった。



「何でもその人、大阪支店のスーパーエースらしいですよ?三年前までは本社勤務だったらしいから、結菜さんも楓さんも知ってるんじゃないですか?どこの課にいたかまでは知りませんけど」



「うそっ!?まさか…」



「あ、やっぱり楓さん知ってるんですね?じゃ結菜さんも?」



「そりゃ知ってるわよ。ねぇ結菜?」



「…結菜さん?」



2人の問いかけに、私はすぐに答えることができなかった。



『お前はオトコをダメにするオンナだな』



昨日は顔さえも忘れていた男が今、私の脳裏に鮮明に蘇ったからだ…。
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