Perverse
「冷めないうちに食べよう」



「美味しそう!」



「いただきます!」



テーブルいっぱいに彩る料理たちは、私達を幸せにしてくれた。



あんなにいろいろ考えて苦しくなっていた胸は晴れ、柴垣くんを想う糧になってくれるようだ。



「すっごく美味しいね。さすが予約が取れないだけあるわ」



楓が満足そうにフォークを動かす。



「でしょ?友達が食べた瞬間に失神しそうだったって言ってたから、どうしても来たかったんですよね。それに…見てくださいよ、あの恐ろしいくらいのイケメン度」



この店に決める前に沙耶ちゃんから雑誌は見せてもらっていたけれど、実際に目の当たりにすると確かに恐ろしい。



「でもなんだか、あそこまで完璧だと現実味ないなぁ」



柴垣くんはもちろん津田さんだってかなりのイケメンだ。



けれどここのスタッフはずば抜けている気がする。



「私たちからすればそうかもしれないですけど。でもほら、あそこ見てくださいよ。一番端のカウンター」



沙耶ちゃんが促す方向を見てみると、カウンターの一番端にふっくらとしたお腹を大事そうに撫でながら食事をしている可愛らしい女性がいた。
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