私の遠回り~会えなかった時間~
私達二人にはお構いなしにしゃべっている。

加代さんは平日には美容院で彬さんのお手伝いをしてくれている。

私が行く日曜日はお休みだから、私と顔を合わすのは久しぶりだった。

「今日は彬に御馳走してもらうんだからね。」

加代さんが念を押すかのように、ニッコリとお母さんに笑う。

「私も御馳走になっていいかしら?」

お母さんは彬さんにニッコリ笑う。

「はい、そのつもりですよ。何でも好きなものを頼んで下さい。」

彬さんは少し肩をすくめながら、でもとても楽しそうに答えた。

「もう注文はしてあるの。このミニ会席にしたから。」

加代さんはあっさりと言った。

「ところで、彬。知紗ちゃんに肝心な事を話していないんだって?」

私は加代さんを伺う。

「もう話してあげなさいよ。」

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