私の遠回り~会えなかった時間~
「知紗…?」

その彬さんの声と同時に私は彬さんに飛びついた。

「…帰りません。」

私は彬さんの胸に顔をうずめて、そうつぶやく。

「知紗?」

彬さんには上手に伝わらなかったようだ。

私は顔を上げた。

「帰りません。彬さんと一緒に居たいです。」

彬さんは顔を思いきりしかめる。

ん…?私何か間違えた?

「ちゃんと俺の名前を呼べ。知紗がそう言ったんだぞ。」

あっ…。

「さあ、ちゃんと俺の顔を見て言え。」

彬さん…、彬は私の顔を覗き込んだ。

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