私の遠回り~会えなかった時間~
「知紗、一緒に行こう。」

彬の動きに翻弄されながら、私はいつの間にか意識を手放しかけていた。

彬が私の上に崩れ落ちてきた。

一体何が起こったの…?

次に気が付いた時には、布団の中で私は彬に背中から包まれていた。

私の耳元で彬の寝息が聞こえる。

彬が触れている私のお腹が何だか変な感じ。

私が動こうとすると、彬が目を覚ました。

「知紗、ものすごく良かった…。ありがとう。」

私を自分の方に向かせた彬の笑顔はとても優しい。

私はその意味がよく分からなくて…。

「私…、夢中で…。これで良かったの?途中から意識がぼんやりしてしまって…。」

「知紗、それでいいんだよ。」

彬はそう言って私の額にキスをした。
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