私の遠回り~会えなかった時間~

「なかなか可愛らしい感じになったでしょう。知紗ちゃんぐらいの年齢の人が入りやすいと思うのよ。」

私はご機嫌な加代さんの横顔を見た。

「前の建物と全然違うからびっくりしたわ。」

私は加代さんの顔を見ながら、目を丸くする。

「でも建物自体は変わってないのよ。外観と内装を改装しただけで、中の椅子なんかも変わってないのよ。」

加代さんは美容院のドアを開けた。

「彬(あき)、知紗ちゃんが来てくれたわよ。」

威勢よく声を張り上げた加代さんについて、私も中へ入って行った。

「えっ?」

私はレジ前で雑誌に目を通していた人を見て驚く。

「どうしたの?」

加代さんは私の顔を不思議そうに見る。

だって…。
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