私の遠回り~会えなかった時間~
「とんでもない。もちろん参加はするけれど、ポスターはプロのスタイリストさんがつくから安心して。」

私が考えているよりも、大事のようだ。

「それでさ、せっかくうちの社からモデルを出すんだから、ちょっとお願いしたい知り合いのスタイリストが居るのよ。」

久保さんは何とも楽しそうな顔をした。

「海外じゃかなりの評価を受けている人なんだけどね。まだ日本じゃ知名度がイマイチなの。この企画を引き受けてもらって、日本でも売り出せたらなって思っているスタイリストなのよ。でも連絡が取れたらって前提なんだけどね。」

ん?どこかで聞いたようなフレーズ?

私と木本さんの目が合った。

「久保さん、もしかしてその人って…。」

木本さんが恐る恐る久保さんを伺う。

「あなた達も名前ぐらいは知っているかしら?私、美容専門学校が一緒だったの。向こうは美容師として勉強をしていたんだけどね…。」

「山瀬彬…?」

木本さんの口からその名前が零れ落ちた。
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