私の遠回り~会えなかった時間~
「さすが、木本君。知っているんだ。」
「いや…、知っているも何も…。」
木本さんは私をじっと見た。
その瞳で、私の許可を取っているかのようだった。
「何?二人とも何かあるの?」
山本さんが口を挟む。
「山瀬彬は…、大沢さんの…。」
一瞬木本さんの言葉の間が空いた。
「知り合いです!」
とんでもなく力んで私は声を上げた。
その様子に山本さんと久保さんが目を丸くしている。
「彬先輩とどういう知り合い?海外で活躍している頃までは、いろいろとお互いに仕事の相談をしていたの。でもその後日本に帰るって連絡があってから音信不通になってしまって…。」
久保さんは私を見た。