私の遠回り~会えなかった時間~

山本さんや木本さんが昼から企画室で、私のポスターのイメージを決める会議があると教えてくれた。

「このラインのコンセプトの“これから出来る女になるあなたに”から派生させて、あなたにピッタリなイメージを話し合うの。」

山本さんも久保さんに負けずにウキウキした様子で話す。

二人とも仕事が楽しくて楽しくてしょうがないという感じだ。

「この二人、凄いだろ?」

木本さんが私に耳打ちする。

「よくこの二人と仕事で組むんだけど、毎回圧倒されてばかりだ。そして出来上がるものは最高と来ている。でもそんな二人の目に留まるなんて、大沢さんはさすが俺が気になっているだけの女性だって事だ。」

私はハッとして、木本さんの方を見た。

いつの間にか、私の事に話がすり替わっている。

「俺にも女性を見る目があるって事だ。だから大沢さんも自信持ちなよ。」

妙に満足気な木本さんの表情。

山本さんと久保さんは早速私のイメージで議論中だ。
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