私の遠回り~会えなかった時間~
「知紗ちゃん、いらっしゃい。奥に入って来てよ。」

奥から加代さんの声もする。

「今日は加代ちゃんの顔を見がてら来たのよ。」

常連さんはニコニコしている。

「いつもありがとうございます。」

私もやっとこんな挨拶が出来るようになって来た。

「今日は3人で夕食ね。」

加代さんがいるキッチンのテーブルの上にはもう料理でいっぱいだ。

「ありがとうございました。」

彬が常連さんを見送っているようだ。

そして店を閉め始めたようだ。

私はチラリと加代さんを見た。

「片づけを手伝ってやって。その間に、味噌汁を温めるわ。」

加代さんは私に目で合図をする。

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