私の遠回り~会えなかった時間~
「はい。」

私はいそいそと美容院へ戻って行く。

後ろで加代さんがクスクス笑っているのに気づかないふりをして。

「加代さんから見たら、私達の事なんてすべてお見通しなんだろうな。」

「ん?」

私のつぶやきに彬が反応する。

「何でもないよ。片づけ手伝うね。」

「おっ、ありがとう。叔母さんはいつも俺一人にさせるんだけどな。」

彬が嬉しそうに笑ってくれる。

「そう言えば、知紗は久保と知り合いなのか?」

早速本題に入って来た彬。

「こないだ外勤した日があったじゃない。あの日に知り合いになったの。」

ふ~んという彬の表情。

「あいつ、気はいい奴なんだけどうるさいんだよな。今日仕事の事で電話があったんだけど、俺達の関係は話していないみたいだな。」
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