私の遠回り~会えなかった時間~
「他の奴に知紗を任すなんて出来るわけがないだろう。」
彬は真面目な表情を私に向けた。
「それより知紗はポスターのモデルをする事に納得出来ているのか?」
彬はなかなか鋭い所を突いてくる。
「例えポスターだけと言っても会社の新商品のものだろう。かなり大掛かりなものになるだろう。ちゃんとやりこなすだけの強い気持ちは持てているのか?」
「えっ?」
「どうせ知紗の事だ。久保達に押し切られたんだろう。でもそんな生半可な気持ちじゃできないぞ。周りの反応も変わるかもしれないし。」
私のすべてを見透かしているような彬の言葉。
でも私は単純に会社や山本さん達の役に立ちたかった。
私はぐっと唇をかんだ。
「そう言えば久保が一度写メを見せてもらえと言っていた。見せろよ。」
思いがけない彬の言葉に、私はきょとんとする。
「スマホを見せろ。それとも俺に見せられないやましい事でもあるのか?」