私の遠回り~会えなかった時間~
いつもの大人の余裕で、ニヤリとする彬の表情が憎らしい。

「…どうぞ。」

私はこないだ山本さんと久保さんと一緒に撮った写真を見せる。

「う~ん…。」

彬はスマホを見つめたまま唸っている。

「これは久保がしたメイクか?」

「はい。ちょっと大人っぽくって気に入っているんです。」

私は一緒にスマホを覗く。

「あのさ…。」

そう言いながら、こちらを向いた彬の顔がすごく近くてドキドキした。

「久保の奴、知紗にこんなメイクしやがって…。」

私の様子なんか目に入らないような様子の彬はこうつぶやいた。

「いくら化粧品のアピールのためだと言っても、これでは知紗の良さが半減だ。」

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