私の遠回り~会えなかった時間~
「いつもの私と違って新鮮だったんですけど。」

私の言葉は彬の耳に入らないみたい。

「やっぱり他の奴なんかに任せられない。」

そして熱を帯びた瞳で、私を見た彬。

私が彬のそんな表情にドキッとした瞬間だった。

「ちょっと、いつまで片づけにかかっているのよ。料理が冷めちゃうわよ。」

少々不機嫌そうな加代さんの声。

ああ…、忘れていた。

そう気づくと、お腹がとても空いている事に気が付いた。

「とにかくご飯にしましょう。」

加代さんは交互に私達を見ると、中へ入ってくるように促す。

その後は加代さんが中心になって、賑やかな楽しい夕食となった。

私が食器を洗うと、彬がコーヒーを淹れた。

「知紗ちゃんがポスターのモデルになって、そのスタイリストを彬がするの?」

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