私の遠回り～会えなかった時間～

私達が知り合いだという事もあったが、彬が私のイメージを膨らませるため、ぎりぎりまで会わないという理由を久保さんに伝えたからだ。

私は久保さんに連れられて控室に入った。

「久保さん、私、本当に大丈夫でしょうか？」

大きな鏡の前でシンプルな衣装に着替えた私は大きく深呼吸をする。

爽やかなレース使いのノースリーブのトップス。

腕がしっかり出ていて、少し恥ずかしい。

裾の少し遊んだタイトスカートはお尻のラインが妙に気になる。

コンセプトの“これから出来る女になるあなたに”を意識してのスタイルらしい。

サブタイトルは“私と一緒に行きましょう”に決まった。

普通の会社に勤めている私でも出来る女になれるのだからあなたも…という意味が暗にアピールされているらしい。

「充分よ。ううん、充分過ぎるくらいよ。彬先輩はよくわかっているわ。」

満足そうにうなずいている久保さんの後ろでドアをノックする音が聞こえた。

「どう？」