私の遠回り~会えなかった時間~
にっこり笑いながら、彬が入って来た。

いつもの調子と変わらない彬の様子。

「あれ?大沢さんとそんなに親しいの?打ち合わせの時は苗字で呼んでいたわよね。」

久保さんは意外そうに聞いた。

6つも年が離れているのだから、元々接点もなさそうに見えるのだろう。

「あれ?言ってなかったっけ?俺達付き合っているんだよ。なあ、木本さん。」

白々しい顔をして、木本さんにニヤリと笑う彬。

ん?ん?

「彬!」

思わず叫んでしまった私は口を押える。

私が念押しをしてしまった形だ。

「あら、そうなの?何でもっと早く教えてくれなかったのよ。それならそれでもっといろんな面白い企画が出来たかもしれないのに。」

久保さんは、山本さんに同意を求めるように言う。

< 168 / 244 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop