私の遠回り~会えなかった時間~
ああ…。
-自信を持て、俺を信じて。-
目の前がパッと明るくなるような感じがした。
身体の中から何かが湧いてくる感じ。
それからは無我夢中だった。
そして気が付いたら、今の私の姿である。
トントン。
「彬?」
私は思わずその名を発した。
「ごめんね、私。」
少し申し訳なさそうに山本さんが入って来た。
「久保と木本君は片づけをしているから、一足早く来たの。」
そして山本さんはもう一度入って来たドアを確認する。
そう、誰か入って来ないかを確認するかのように。