私の遠回り～会えなかった時間～

「山瀬さんは反対のようね。そうよね、このプロジェックトが動き出したら、あなた達はしばらく仕事の関係に徹してもらわなきゃいけないものね。」

私はハッと顔を上げる。

「でもね、あなたも会社員ならこれが社命だって事、分かるわよね？」

「えっ？」

「つまりは引き受けるか、会社を辞めるかの二者択一だって事よ。」

「そんな…、私は今まで通り総務で仕事をしたいだけなんです。」

そこへ久保さんと木本さんが入って来た。

「今そこで彬先輩に責められたわ。何だか大事になっているみたいね。山本、ちゃんと説明してくれる？」

久保さんは有無を言わせない勢いで山本さんに詰め寄った。

「企画室でもそんな話聞いた事ないですよ。」

とても不機嫌そうな木本さん。

「当たり前よ。企画室では清田室長と私しか知らないんだから。」

溜息をつきながら、山本さんは答える。