私の遠回り~会えなかった時間~
16
「うわ~。」

空港は人で溢れかえっていた。

ちょっとした有名人になった私の旅立ちを見送りに来たやじ馬さん達。

「さっ、こっちへ。」

なぜか企画室から私の担当になった木本さんが私を促す。

「久保さんは?」

「先に行ってもらっています。その先で落ち合う事になっています。さあ、早く。」

私の背中を押す木本さんに、私は振り返って言った。

「ちょっと、早すぎます。」

その瞬間だった。

私の視線の先には確かに彬が居た。

「あっ。」

でも私は木本さんに促され、立ち止まる事も出来ない。

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