私の遠回り~会えなかった時間~
「何をしてるんですか。とにかく早くここを通り過ぎないと。」

心を置き去りにしたまま、前に進まざる負えない私。

「ここよ。」

久保さんがやっと人気がなくなった通路で手を振って迎えてくれた。

「大沢さん、どうした?」

私の今にも泣きそうな顔を見た久保さんは叫んだ。

「木本君、何したのよ。」

久保さんはじろりと私の後ろの木本さんを見た。

「違います、木本さんのせいではないんです。」

私は手を目に持っていきながら、否定する。

「大沢さん…?」

木本さんは少し驚いたように、私の様子を伺った。

「彬先輩でも居た?」

久保さんが私を正面から見た。

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