私の遠回り~会えなかった時間~
「毎日が刺激的よ。すごく充実しているわ。今日はそれを久々に発揮できるわ。」

久保さんがにっこり笑う。

「彬先輩もそうだったんだろうなって思うわ。だからすべてを習得したくなってスタイリストになっていったんだろうな。」

久保さんの何気ない言葉に木本さんが微妙に反応する。

久保さんがやばいという顔をした。

他人の口から聞くと、懐かしくて、そしてまだ胸がざわめく私が居る。

私が彬を忘れられるわけがない。

毎日寝る前にそっと彬に話しかけている自分に気が付く。

初めは辞めようと努力したが、ダメだった。

最近は開き直っている。

でもそんな私を誰にも気が付かれたくなかった。

例え、この二人にも。

「もう大丈夫ですよ。」

私は無理のない笑顔を二人に向ける。

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