私の遠回り~会えなかった時間~
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こうして一年が過ぎようとしていた。

今はレッスンと仕事が半々ぐらいになって来た。

会社から日本に帰ってくるように打診があった。

しかし私はわがままを言って、この生活をもう少し続けさせてもらう事にした。

それには久保さんも木本さんも賛成して、一緒に仕事をしてくれる事になった。

その代わり、これからはどんどん仕事を入れるとのお達しだ。

今までは、ほとんどこちらで仕事をこなした。

会社がそういう条件を付けて、私という商品に付加価値を付けたためだ。

私と仕事がしたければ、相手側にこちらへ来させる。

その条件が飲めなければ、契約はしない。

なんと高飛車なやり方なんだろうと思ったけれど、我が社の化粧品のモデルの仕事は大ヒットをして、多くはないけれどそういう条件を飲む会社は確実に増えていた。

だから私は一度も日本に帰っていない。

意識的にそれを避けている自分にも気が付いている。

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