私の遠回り~会えなかった時間~
「お母さん?」

私は風呂上がりに着信に気が付いた。

「珍しいな。」

私はストレッチと電話とどちらを先にしようか悩んだが、先に電話することにした。

「電話くれたのね。何か用事があった?」

私はタオルで顔を撫でた。

「かけ直してくれたのね、元気?」

いつものお母さんの声、ちょっと安心する。

「実は、加代さんがね…。」

久しぶりに聞くその名前。

「ちょっと体調が思わしくないのよ。…正直、そんなに長くないかもしれない。」

お母さんの声が低くなる。

「それでね、加代さんがあなたに会いたがっているのよ。近々こちらに帰って来られないかしら?」

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