私の遠回り~会えなかった時間~
スタイリストは当然そういう場に立ち会って、化粧直しなどを行う。

カメラさんの指示通り動かなくてはならない。

「そういう現場でいろいろ不都合が出て来ているらしいの。どうも直しの代わりが利かないみたいで、彬を使いにくく思っているみたい。美容院の仕事は何も変わらず出来ているのよ。でも彬自身は段々自信を失っているの。最近は夜も寝られない時があるみたい。」

加代さんも本当に心配そうだ。

「朝方、早く来た時なんて、彬がうなされている声を聞いたわ。本人には確かめてないんだけど。」

私は箸を止めた。

「あなたが初めてのポスター撮影をした後に、あなた達は別れたんだったわよね?」

率直に加代さんは聞いて来た。

私は表情をこわばらせたまま、うなずく。

「多分彬本人も原因を自覚していないんじゃないかな。」

「加代さんは私にどうしろと言うんですか?」

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