私の遠回り~会えなかった時間~
溜まりかねてお母さんが口を挟む。

「いいの、お母さん。私が全部悪いの、分かっているんだけど…。」

感情があふれてくる。

この一年もの間、こんなに激しい感情に襲われることはなかった。

全部自分の中に押し込めてきた気持ち。

彬に申し訳ないと思いながら、どこにもぶつける事が出来なかった私の思い。

彬の声が聴きたい、彬に触れたい…、私こそ夢の中で何度彼を追いかけた事か…。

でも今は…。

「私はずっと彬の事も知紗ちゃんの事も見て来たのよ。」

加代さんはお母さんの方を申し訳なさそうに見ながら言った。

「この状態が二人にとって良いとはどうしても思えないの。」

そして私は加代さんに無理やり約束をさせられた。

決心がついたら必ず彬と話し合う事。

期限は区切らないからと。

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