私の遠回り~会えなかった時間~
「まだまだなんだな、悔しいけれど。」

木本さんは目線を落とす。

「この一年、俺は一番君のそばに居て、一番力になって来たという自負がある。でも大沢さんにはそれがちっとも伝わらないんだよな。」

真剣な表情の木本さんに私は虚を突かれる。

「まあ、これからもよろしくね。何でも話してくれると嬉しいんだけど。」

また木本さんの表情が変わった。

「ごめんなさい。」

私はつぶやいた。

「えっ?」

「私、木本さんには感謝しています。ずっとそばで助けてくれて、もしかして今の私を一番分かってくれる人かもしれない。」

「そんな言葉が欲しい訳じゃない。もう、良いから。」

溜息をついた木本さんが私を制する。

「俺にはまだまだ時間が有るから。諦めないよ。」

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