私の遠回り～会えなかった時間～
顔を合わせて、私からどんな言葉が出るか分からない。

いやその前に、彬がどんな拒否反応を示すか分からない。

座席に深く腰を掛けて考え込む私を隣から木本さんが気にかけていた。

「今回は絶対付いて行く。」

木本さんは私が何を言おうとも、そう返した。

「ちょうどいいじゃない。いろいろと決着をつけて来なさいよ。」

久保さんは私と木本さんのやり取りを見て、苦笑した。

「ここずっと働きづめだったから、休暇も兼ねたら？」

そういう久保さんに私は言った。

「すぐ帰ってきます。」

彬と決着をつけるという事は、日本に居る事がますます辛くなるに決まっている。

「知紗の御両親に挨拶してこようかな。ちょっと緊張するよな。」

いつの頃からか苗字から名前に変わった呼び方にも慣れて来た今日この頃。

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